化粧水に入っている成分のうち、
今日のお話は「膜モノ」について、です。
「膜モノ」とは、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチンなど。
表皮の上に「膜」を張ることで「うるおい感」を与える物質です。
(決して、皮膚に入り込んだりしません!)
これらは「ローションパック不要」な成分たちです。
「膜モノ」は分子量が大きく、角層をすりぬけていくことができません。
乱暴に言うと、
お肌に空いている「穴」よりも、モノが大きいと考えてください。
「膜モノ」は奥に入り込むことはできませんから、
「肌につけてあげるだけ」でじゅうぶんです。
「浸透」を狙っているローションパックには不向きの成分と言えます。
※(以下は詳細なお勉強コーナー)
コラーゲンやヒアルロン酸が「肌の奥に届く」とか
「ぐんぐん浸透する」と誤解されていた方は多いのではないでしょうか。
私たちの皮膚の「奥(=真皮)」には
コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチンが存在しますが、
それらを外から入れ込むこと、浸透させることは不可能なのです。
厚さ0.02mmの角層を拡大して見ると、
薄い「角質細胞」がミルフィーユのように何層にも重なった構造をしています(顔面では10層くらい)。
このすきまをくぐり抜けられるのは、分子量が500までの物質のみです。
ヒアルロン酸は分子量が100万程度です。
分子量が400~800程度の低分子コラーゲン配合、という化粧品もみかけますが、
いくら角層(=死んだ細胞のすきま)をくぐりぬけても、
その次にひかえる、表皮・顆粒層のタイトジャンクションを突き抜け、
さらに真皮へと到達するのは不可能でしょう。
角層とタイトジャンクションは体表面から異物が体内に侵入しないように、
かなりしっかりしたバリアを形成しています。
すきまがせまい(美しい肌の角層ほどすきまがせまい)ことで「物理的バリア」を形成し、
有効成分と言えど、体外から与えられた異物が、そのバリアを突き抜けるのは並大抵のことではないのです。
また、コラーゲンはタンパクですから、
特殊な加工(アテロコラーゲンという形にする)を施していないとアレルギーをおこす可能性もあります。
これら「膜モノ」は肌の表面に皮膜をつくり、うるおいをとどめてくれる成分、
としてとらえておいたほうがいいと考えます。
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