ビタミンA化粧品の効果、副作用

  1. コスメの成分

みなさん、こんにちは。RITSUKOです。

今日の話題は、、、、

ビタミンA化粧品の効果、副作用について

ビタミンA配合の化粧品の誕生

ビタミンA配合の化粧品の誕生

ビタミンAを配合した化粧品は、1987年に南アフリカで誕生しました。それまでは見向きもされなかったビタミンAを化粧品に使用したのはデスモンド・フェルナンド医師です。南アフリカの紫外線量は赤道直下並に強いです。まず使用されたのはビタミンAの一種である「パルミチン酸レチノール」です。

フェルナンド医師は、紫外線からの皮膚保護の作用を研究し、ビタミンAの化粧品を作り始めました。その後、ビタミンAには多くの種類があり、様々な効果があることが明らかになってきました。以下ではビタミンA配合の化粧品を詳しく説明します。

ビタミンA配合の化粧品の働き

ビタミンA配合の化粧品の誕生

光老化から皮膚を保護

紫外線の害から皮膚を保護し、真皮でコラーゲンが破壊されるのを抑制します。

繊維芽細胞を活性化

真皮に存在する繊維芽細胞が、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチンの製造を促進します。

表皮細胞の成長を促進

表皮の厚みを増やし、弾力のある、強い皮膚へと成長させます。

ターンオーバーの正常化

不要になった古い角質を除去します。その働きにより皮膚の色が均一になってきます。

皮脂分泌の抑制

皮脂の分泌を抑える働きがあり、ニキビ肌にも効果的です。

ビタミンAの種類

ビタミンA誘導体(様々なビタミンAの形態)は、お互いに変換し合うことができます。主に6種類あり、後ろに行くに従って効果が上がり、刺激も出やすくなります。(刺激の程度は、配合濃度によっても変わりますので、一概にこの通りと言うわけではありません)

最初の3種類は「守りのケア」、後ろの3種類は「攻めのケア」として使われます。光からの防御力は、最初の3種類は高いですが、後半の3種類では防御力が弱くなります。

化粧品、医薬品でよく使用されている成分は赤字で表記しました。

パルミチン酸レチノール

光に対する防御力が強く、SPF20程度の働きがあります。様々なビタミンAは、皮膚内でパルミチン酸レチノールに変換され、貯蔵されます。皮膚内のビタミンAの90%は、パルミチン酸レチノールの形で貯蔵されています。刺激は +(非常に少ないです)

プロピオン酸レチノール

刺激は +(非常に少ないです)

酢酸レチノール

刺激は ++ (少ないです)

⇅(ここから刺激が強くなっていきます)

レチノール

化粧品のパッケージに「ビタミンA配合」「ピュアレチノール」と書かれているときは。このレチノールのことを指します。安定性が悪いため、注意事項に従ってきちんと保管しましょう。ビタミンAの化粧品の中でも、浸透度が高いビタミンAです。刺激は +++ (高濃度の場合、人によっては赤み、チリチリ感が出ることも)

レチナール

皮膚でトレチノインに変化すると、トレチノインからレチナールには戻れません。刺激は +++ (レチノール程度です)

トレチノイン (レチノイン酸)

一般の化粧品には配合されていません。美容クリニックで購入することになります。

医薬品のトレチノインは安定性が悪いため、1ヶ月で10%程度が劣化していきま す。そのため冷暗所に保管し、1~2ヶ月程度で使い切る必要があります。

上に挙げたさまざまなビタミンA誘導体の約100倍の効果を持ちます。ビタミンA誘導体は、皮膚内では90%がパルミチン酸レチノールの形で貯蔵され、必要によりトレチノインまで変化して、トレチノインの形で働きます。ただし、トレチノインは自然の状態だと皮膚には3%程度しか存在しません。この皮膚内に存在しているトレチノインが普段の角質の代謝を促しているのです。そのトレチノインを皮膚に直接塗布すると、角質の代謝のスピードが急激に上がり、刺激、皮むけが起こるのです。

刺激は +++++ (非常に刺激が強く、赤み、チリチリ感が出ます。そうした症状が全くない人もおられますが、効果は出ていますので安心してください)

 

ビタミンA化粧品の副作用とは

ビタミンA化粧品を使ったときの副作用は「レチノイド反応」と呼ばれています。

ビタミンA化粧品の副作用とは

トレチノインの場合

もっとも激しいレチノイド反応は、医薬品のトレチノインを使用することによって起こる副作用です。トレチノインを塗布した部分が赤くなる、灼熱感があってチリチリ痛がゆい、皮膚が剥がれ落ちてくるなどです。トレチノインを使用し始めてから2~3日でこれらの症状が始まります。

これらの症状はトレチノインという医薬品を医師の指導のもと行う上で出てくる「効果を出させるための反応」なので、一概に「副作用」とは言えません。また、日が経つにつれ、これらの症状は治まってきます。

注意点としては、口角や目尻には付かないようにしましょう。皮膚が切れてくることがあります。トレチノインを使ったあとは必ず手を洗ってから、次の化粧品を使うようにしましょう。

レチノールの場合

トレチノインよりはマイルドになりますが、同様に、赤み、チリチリ感を感じる方がおられます。

副作用なの?アレルギーなの?

トレチノインや、レチノールは私たちの皮膚にそれぞれ3%は含まれている成分です。そのため、抗原抗体反応やアレルギー反応を引き起こす可能性はほとんどありません。

ビタミンAの医薬品や化粧品を使用したときの「赤み、チリチリ感、皮剥け」の多くは、アレルギーではなく、ビタミンAが、不要な角質を通常よりも早いスピードで新陳代謝させ、新しい皮膚に生まれ変わらせるために起こっていることなのです。

アレルギーの心配はないの?

どの医薬品や化粧品も100%アレルギーを起こさないわけではありません。ビタミンAにアレルギー症状を起こす方もゼロとは言えません。また、ビタミンAの化粧品に含まれる他の成分、防腐剤、基剤(有効成分を溶かしこんでいるもののことです。ジェルやクリームなど)などにアレルギーを起こすことがあります。

「腫れる」など、アレルギーを疑った場合は塗るのをストップしましょう。アレルギーの場合は、数日、腫れや赤みが続きます。皮膚科へ相談されることをおすすめします。

レチノイド反応対策

赤みやチリチリ感なく、ビタミンAとうまくつきあって行く方法があります。

レチノイド反応対策

医薬品のトレチノインで短期間に治療効果を出したい方向けではなく、ビタミンAをマイルドに皮膚に入れ込み、老化予防、若返りをしたい方向けの方法です。

化粧品の箱の裏に全成分表があります。「パルミチン酸レチノール」「レチノール」の文字を見つけてみてください。上位に書かれている成分の方が濃く含まれています。それをヒントに、うまくビタミンA化粧品とつきあっていきましょう。

まずはパルミチン酸レチノール配合の化粧品(医薬部外品ですと、配合量もしっかり管理されているので安心です)を使用し、紫外線から皮膚を守りながらビタミンAに慣れさせます。多少のチリチリ感があれば、他のクリームで薄めて塗ってみましょう。

その後、パルミチン酸レチノールの化粧品に、レチノールの化粧品を混ぜて使い、1週間ほど使用して様子を見ます。赤みやチリチリ感がないことを確認してから、次の1週間でレチノールを前より少し濃いめに混ぜて使用します。ゆっくりレチノールの濃度を上げていくのです。レチノールに肌が慣れてきたら、朝にはパルミチン酸レチノール配合の化粧品を主に使い(紫外線対策)、夜にはレチノール配合の化粧品(紫外線には不安定だけど若返り効果が強い)を使うとよいと考えます。

ビタミンAの種類別、濃度別の製品を作っているブランドもあります。(エンビロン、ゼオスキンなど)それだと簡単にビタミンA濃度を上げて行けますね。

ビタミンA化粧品と上手につきあう

ビタミンA化粧品を毎日のお手入れに上手に取り入れて行くことは、シミ、シワ、ニキビと戦うために非常に効果的です(レチノールはアメリカのFDAで認可されている薬剤です)。シミ、シワがない肌へ改善していくということは、単なる老化予防だけでなく、「若返り」効果レベルの美しい肌になっていくということです。

紫外線を浴びると、皮膚内のビタミンAは破壊されてしまいます。毎日補充していくことが重要です。もちろん日焼け止めは必ず塗りましょう。

医薬品のトレチノインを使うことだけが、ビタミンAの補充方法ではありません。ビタミンAの化粧品を継続して使うことで、皮膚は若返ることが出来るのです。

また、今日では、上に上げた6種類のビタミンA誘導体の他にも、レチノイン酸トコフェリル(トレチノインをビタミンEと結合させ、レチノイド反応を抑制)、グラナクティブレチノイド、バクチオール、レチノイン酸レチニルなど、新しいビタミンA誘導体や、その類似物質の新規開発が進んでいます。

若返りのために、ぜひビタミンAの化粧品を取り入れましょう。

 

レチノイン酸トコフェリル配合、レチノイド反応をほぼ起こさないビタミンA誘導体のクリームを長年研究しています。私と母(=私の実験台)はつやつやのツルツルです。限界の高濃度でも安心です。

Dr.RITSUKO(朽木 律子)

美容皮膚科医、『美肌道』コスメ開発者。医師として初めて化粧品成分検定1級を取得。
美容皮膚科医として、東京の美容クリニックで院長を務める傍ら、長年コスメ開発に勤しむ。確かな知識に基づいた厳選成分、ドクターズコスメの限界を攻める超高濃度なコスメを、丁寧に時間をかけて開発している。

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