誰もがその存在を知っているワセリン!
果たしてその役割、種類はご存じでしょうか。
今回はそんなワセリンにぐぐっと迫ります!
ワセリンの役割
ワセリンと言うと「保湿」と思ってらっしゃる方が多いようです。保湿クリームには2種類あり、「フタ」の役割をするものと「角層をうるおしながらフタをする」ものがあります。
次の図をどうぞご覧ください。
エモリエントは水分蒸発を防ぐ「フタ」、モイスチャライザーは「フタ」+「保湿成分」です。
エモリエントとは、ワセリン、ホホバ油、ラノリン、スクワラン、ミネラルオイル、などです。これらを塗ることで皮脂膜の代わりに角層を守ってくれます。皮膚の乾燥を防ぐ役割をするものと言えます。ただ皮膚に栄養成分を与えることはできません。あくまで水分の蒸発を防ぐ「フタ」なのです。
モイスチャライザーには、セラミド、ヘパリン類似物質、ヒアルロン酸、グリセリン、アミノ酸、乳酸、(尿素・・・皮膚に刺激が出ることがあるので私はお勧めしません)(他にも多くあります)があります。モイスチャライザーは皮膚の潤いを保ちながら、皮膚からの水分蒸発を防いでくれます。
味噌汁の中身のないカラの状態にフタを被せるのか(エモリエント)、中に具材、味噌汁を入れてフタをかぶせるか(モイスチャライザー)、の違いを想像してみてください。
一般的には、エモリエントよりモイスチャライザーの方が保湿効果は高いと言われています。赤ちゃんにもモイスチャライザー、特にセラミドは与えてあげてください。
モイスチャライザーを使っても、まだ乾燥するときにエモリエントを足すのがよいでしょう。また、少しの刺激でも赤くなってしまうような敏感な時期だとエモリエントだけで様子を見た方がいいかもしれません。エモリエントの代表ワセリンは「軟膏」の基剤(お薬を溶かし込んでいる成分)にも使われているほど、超低刺激の成分なのです。
肌断食の間違い
ここで、突然、肌断食の話題です。
最も厳しい肌断食・・・ぬるま湯洗顔、その後何も塗らない。乾燥したときのみワセリン。「だから、ワセリンに栄養成分は入ってないって!余計乾燥するよ!一番重要な日焼け止めはどこ行った!←リツコの声」
少しゆるめの肌断食・・・石鹸で落とせるメイクくらいはOK。「石鹸で落とせる、って石鹸のアルカリ性は肌の弱酸性と反するうえ、石鹸で落とせるってどうやって調べたの?←リツコの声」
かゆみ、赤みが出てもそれは好転反応・・・「それを皮膚科では「炎症、湿疹」という!←リツコの声」
肌断食では、基本、保湿はワセリンだけのようです。エモリエントとモイスチャライザーではモイスチャライザーの方が保湿効果が高いんだよ。乾燥したときにはワセリンだけ、って・・・。どうなのよ!
ということで、エモリエントとモイスチャライザーの違いを知った皆さんは、どうお考えになるでしょうか。
ワセリンの種類
さて、ワセリンだけのケアは保湿機能がほぼない、「フタ」の役割しかないことは分かっていただけたと思いますが、モイスチャライザーだけではまだ乾燥する、という方は、もちろんワセリンを足していただいてOK!
以下で、ワセリンの種類を知っていただき、うまく使い分けてくださいね。
なおワセリンは石油から作られます。ベビーオイルも同じ。石油から作られている、、、という「イメージ」で避ける人がいるかもしれませんが、赤ちゃんにも使えるベビーオイルも石油由来ですし、病院で出される軟膏もワセリンに薬剤を溶かし込んだものです。つまり、非常に安全で安定したエモリエント剤なんです。
以下にワセリンのグレードを記載します。すべてピュアワセリンで、他の材料は混ぜられていないものです。ワセリンをあくまで「フタ」として使うとき、その他の成分が皮膚に刺激を与えることがないように純粋なワセリンのみを選びました。少し成分を足してあるワセリンは省きました!
黄色ワセリン・・・(黄色)安価ですが、不純物の除去が不完全なので刺激を感じることも。炎症の起こっていないボディに使うのには問題ないでしょう。ヴァセリン ペトロリュームジェリー368g 1114円。
白色ワセリン・・・(黄味がかった白〜白)もっとも市場に出回っているポピュラーなワセリン。黄色ワセリンより精製度が上がり、刺激を感じることはほとんどありません。ヴァセリン ピュアスキンジェリー200g 611円
白色ワセリンの少し上のグレード・・・(白)高精製ワセリンで、白色ワセリンより純度が高いです。刺激はさらに少なくなります。大洋製薬 ワセリンHGクリーム100g 360円。あるいはマツキヨのワセリンPRO。110g 980円
プロペト・・・(白)さらに高精製のワセリン。刺激を感じることはほとんどありません。医療機関でも使われています。プロペト ピュアベール 1009円。
サンホワイト・・・(白)ワセリンの最高峰。高価なのがデメリットですが、刺激を感じやすい人でもサンホワイトなら安心して使えるでしょう。 サンホワイトP-1(しっとり)サンホワイトY-I(さっぱり)50g 964円
上記のワセリンは、他の成分も入っていない純粋な「フタ」です。モイスチャライザーにプラスしたいときに使いましょう。
くれぐれも、ワセリンだけでは保湿になりませんよ!
ワセリンの使い方
・唇の荒れに・・・実は唇にはほとんど角層はありません。しかし、わずかな角層でもモイスチャライザー(特にセラミド)が有効なんです。そのうえからワセリンで水分の蒸発を防ぎましょう。白色ワセリンレベルで大丈夫です。
・日焼け後の肌に・・・日焼け後の肌は敏感で水分がどんどん失われ続けている状態。モイスチャライザーが刺激になることもあるので、ワセリンだけでフタをして今以上の乾燥を防ぎましょう。もちろんヒリヒリが強いときは皮膚科へGO!
・花粉症対策に・・・ワセリンは「フタ」として働いてくれるので、外敵からも守ってくれます。鼻周りの皮膚、目回りに塗るとワセリンが花粉をキャッチして地肌に付着するのを防いでくれます。
・かかとのガサガサに・・・ワセリンだけでは効果が今ひとつですが、おすすめは「尿素クリーム」との合わせ技。尿素はタンパク質を溶かす働きがあるので、尿素を塗ってワセリンでカバーすると効果が上がります。尿素を顔に塗ってほしくないのは、そのピーリング効果とpHが高いせい。アトピーの方だと沁みることも多いです。(なぜ皮膚科はアトピーさんの顔用に尿素クリームを出すのだ!?)
・モイスチャライザーの強化に・・・モイスチャライザーでも乾燥する方は、上からワセリンで強力な「フタ」をしてもいいと思います。
・小さな傷に塗る・・・小さい傷(コテで小さな火傷をした、とか、紙で指を切ったなどが適応。土の中で怪我したなど、汚れている場合を除く)をラップ効果で傷を覆い、外界からの刺激を止めてくれます。傷が乾かないことで自らの創傷治癒成分を閉じ込め早く傷が治ります。傷にワセリンを塗り、その上をサランラップで覆いテープで止めるといいでしょう。
以上がワセリンのまとめです。決して「栄養を与える効果はない」ことだけは覚えてくださいね。「フタ」です、「フタ」!
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